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身元引受の基礎知識とお仕事

身元引受とは何か、成年後見人とどう違うのか。そして身元引受人が実際に行う4つのお仕事を、1ページにまとめました。

身元引受の基礎知識

まず知っておきたい5つのことを、要点から順にまとめました。

身元引受とは

要点身元引受人に法律上の定義はなく、ご本人との契約にもとづいて支えます。

現代社会において、身寄りがないことは特別なことではありません。親族が近くにいない、あるいは縁が途絶えてしまったときも、身寄りがない状態だといえます。そんなときに支えとなるのが、身元引受人です。

法律上の位置づけ

身元引受人には、法律上の定義があるわけではありません。契約の類型でいえば、委任契約か委託契約にあたります。

委任契約
ご本人(委任者)が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方(受任者)がこれを承諾する契約。
委託契約
法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が、自分の責任・管理のもとでその事務を行う契約。

注意したいこと

身元引受契約は、ご本人の意思能力(契約内容を理解し、自ら意思を示す力)が前提となります。認知症であっても、契約時点で内容を理解し意思を表明できる場合には契約は成立しますが、意思能力が不十分な場合には委任・委託契約は成立しません。そのため、判断能力が低下する前に、予防的に身元引受人を選んでおくことが望ましいといえます。なお、認知症の方の意思能力は「理解・認識・判断・意思表明」の4要素を個別に評価する必要があり、認知症の程度によって契約可能性が異なるため慎重な確認が必要です。

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身元引受人と成年後見人の違い

要点裁判所が関わる成年後見人に対し、身元引受人は契約ですぐに始められ、死後の事務まで幅広く対応できます。

身寄りがないときに頼れる人を得る方法は、大きく分けて二つあります。身元引受人を選ぶ方法と、成年後見人を選ぶ方法です。成年後見人は、さらに任意成年後見人と法定成年後見人に分かれます。

身元引受人と成年後見人の違い(○=あり・できる/×=なし・できない)
項目身元引受人任意成年後見人法定成年後見人
家庭裁判所への申し立てが必要××○
家庭裁判所による選任(安心感)××※1○
選任までの期間短い1.5~2カ月平均4か月程度
財産管理△※2○○
あらかじめ選任できるか○○×
債務保証(連帯保証人)○××
死後事務委任○×※3×※3
葬儀○××
  • ※1 ただし家庭裁判所による監督あり
  • ※2 生活の為の金銭程度を中心
  • ※3 緊急時に対応することあり

違いのポイント

  • 法定成年後見人は裁判所が選任するため、安心感が大きいのが特長です。ただし選任までに時間がかかるため、本当に必要なときに選任されているかという課題があります。
  • 成年後見人は、生前の財産管理を行う立場です。そのため、死後事務委任は行えません。
  • 身元引受人は契約にもとづくため、契約を結べばすぐに始められます。そのかわり裁判所による選任はありません。
  • 料金を定めた法律がないため、料金は事業者によって幅があります。
  • 生前の事務から死後の事務まで幅広く取り扱えるため、ご本人のやりたいことに融通が利くのは身元引受人です。

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身元引受はなぜ必要?

要点施設に入居するときや病院の入院の際に、多くの施設や病院で身元引受人を求められるためです。

身寄りがない状態でも暮らしていける、と考える方もたくさんいらっしゃいます。ただ、体が衰えて要介護の状態になると、訪問介護のように限られた時間のサービスだけでは限界が出てきます。

緊急時の入院や病気による入院の際には身元引受人や身元保証人が求められます。又、退院の際、高齢者施設に転居する際にも身元保証人が必要になります。

そうしたとき、24時間の見守りがある有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの施設で暮らすことは、効率的で安全な選択肢です。ところが、この施設への入居のときに、多くの施設で身元引受人を求められることがあります。

身寄りがない方にとって、身元引受人は、暮らす場所を選ぶときの前提になっているといえます。

在宅で暮らす身寄りのない高齢者の方々が、体が不自由になったり、認知症が始まると銀行やATMに行ってお金をおろすことができなくなり、在宅での一人暮らしが困難になっていきます。その際の金銭管理や緊急時の対応、日常の生活支援で介護保険外のニーズに応えるためにも必要になります。

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身元引受サービスの本質

要点同意書を書くだけではなく、これからの生き方を一緒に考え、必要なサービスをつなぐ立場です。

身元引受人は、入居のときに同意書を書くだけの「添えもの」と見られることもあります。けれども実際には、身元引受人ならではの支え方があります。現代社会における身元引受人の役割は、どんどん大きくなっています。

これからの生き方を、ともに考える

これからどう生きたいのか、その生き方を一緒に考え、どうすれば実現できるかをコーディネートする。身元引受人は、ライフプランをともにつくる立場です。

暮らしに必要なサービスを、つなぐ

介護業界も様変わりしていくなかで、施設への入居が難しくなる時代も考えられます。自分らしい暮らしをかなえるには、いくつものサービスを組み合わせる必要があります。たとえば、次のようなサービスです。

  • 住み慣れた我が家で暮らしていくための、介護保険のサービス
  • 出張で散髪してくれるサービスの手配
  • 食事を届けてくれる宅配サービスの手配
  • 金銭管理を任せるサービス
  • 緊急時の対応をしてくれるサービス

こうした暮らしにまで踏み込んだ支えは、身元引受人という立場だからこそ組み立てられるものです。

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生活保護を受けている方の身元引受

要点申請の代行や行政への報告、お小遣いの調整など、受給中ならではの支え方があります。

一般社団法人ロングライフサポート協会がこれまでに支援した325名のうち、186名が生活保護を受けている方です。受給中の方には、受給中ならではの手続きやお金の調整があります。

生活保護の手続きの代行

金銭管理の一環として、生活保護を受けることになりそうな方の手続きを代行する場合があります。生活保護の手続きは申請と調査の二本立てで、ご本人が行政に行けない場合は、行政が施設に直接来て調査することもあります。

申請の代行ではご本人がその場にいないため、事前に情報を伺っておくことが大切です。特に必要になるのは、次のような情報です(何を聞かれるかは、行政によって異なります)。

  • いつからいつまで働いていたか
  • ご親族はどこに、何人いるのか
  • お体の状況

受給中のご相談の例

  • 施設利用料との兼ね合いで、お小遣いの捻出を調整する
  • 保護費が少しずつ貯まり、生活保護の停止・中止が予測される
  • 行政から定期的に、資産照会・収入申告・生活状況の報告を求められる

亡くなった後の葬儀・埋葬などの流れは、死後事務委任の項目で説明しています。

生活保護の困難事例を見る

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身元引受人の4つのお仕事

契約にもとづく仕事なので、内容は事業者によってさまざまです。主なお仕事は、次の4つに分けられます。

  1. 身元引受人としての同意

    要点入院・退院・施設入居の手続きで同意を求められたとき、身元引受人として書類に署名・捺印します。代理ではなく、身元引受人自身の立場で施設と約束します。

    入居のときの同意

    施設への入居のときには、多くの施設で身元引受人の同意を求められます。これは代理ではなく、ご本人の行為について、身元引受人が身元引受人として同意するものです。

    身元引受人の同意

    身元引受人は施設と独自に約束し、その同意について身元引受人が独自に責任を負います。ご本人と施設の契約とは、直接は関わりません。

    代理(ご家族・後見人など)

    代理人の代理行為はご本人に帰属し、契約関係は一本です。有効な代理であれば、責任は基本的にご本人が負います。

    どちらが良い・悪いというものではなく、どちらの方法もとられています。ただ、施設としては身元引受人の同意を求めることが多いといえます。施設利用料の連帯保証人になってほしい、葬儀の手続きを組んでほしい、といった行為は、後見人などの立場では難しいためです。

    入院・退院のときの同意

    病院への入院・退院の手続きのときに、同意が必要になることがあります。そのときも身元引受人として、書類に同意の署名・捺印をします。

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  2. 日常の金銭管理

    要点通帳・印鑑をお預かりして支払いを行い、月1回程度ご報告します。契約にもとづくので、柔軟に対応できます。

    任意の契約なので、日常の金銭管理を行っていない事業者もあります。

    成年後見人の財産管理との違い

    成年後見人の財産管理には、裁判所が関与します(法定の場合は裁判所による選任、任意の場合は裁判所による監督)。身元引受人には裁判所の関与がなく、ご本人と身元引受人の契約が根拠になります。実は、サービスの中身そのものは、それほど変わりません。

    成年後見人の財産管理

    • 裁判所が関与するので、高い公平性が保たれます。
    • 財産行為は一括で行います。
    • 財産行為については、比較的安価で済みます。

    身元引受人の金銭管理

    • 契約にもとづくので、柔軟に対応できます。
    • 包括的な契約内容を選べば、成年後見人のサービスと大差なくなります。
    • すぐにサービスを始められます。
    • 料金は事業者によって幅があり、他のサービスと一体になっていることが多いです。

    日々の金銭管理の流れ

    1. お預かり

      通帳や印鑑をお預かりします。

    2. お支払い

      支払いが必要なものは、すべてお支払いします。

    3. お届け

      何か買いたいものがあるときは、現金書留でお送りすることが多いです。近くにいる場合は、直接お渡しすることもあります。

    4. 記録

      台帳につけ、実際に出し入れした金額と差額が出ないよう、日々管理します。

    5. ご報告

      1か月に1度くらいの頻度で、ご報告します。

    成年後見人の場合は、これに加えて裁判所への報告があります。

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  3. 死後事務委任

    要点亡くなった後のご遺体の引取り・葬儀・埋葬から、行政の手続き、残されたお荷物の整理までを、生前の契約にもとづいて行います。

    成年後見人との違い

    成年後見人の仕事は、原則として生前の事務に限られます。そのため死後事務委任は原則できず、例外は財産を保全するために必要な行為だけです。亡くなった後の事務をきちんと行うには、身元引受人を選んでおくことになります。

    亡くなった後の流れ

    1. ご遺体の引取り

      身元引受人が手続きを進めます。事業者が直接引き取る場合もありますが、多くは葬儀社がお引き取りに来られます。

    2. 葬儀

      基本的には、エンディングノートに書かれたご希望に沿って行います。葬儀に費用をかけられない場合は、直葬(そのまま火葬場へ向かう形)が多いようです。

    3. 埋葬

      お墓がある場合は、そのお寺へ。お墓がない場合は、できるだけ費用を抑えて永代供養をしてくれるところを探します。

    4. 行政の手続き

      年金受給の停止や、遺産相続について対応します。

    5. 残されたお荷物の整理

      ご親族がいる場合は形見分けをし、施設に必要なものがないかを伺ったうえで、残りは処分業者に処分を依頼します。

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  4. その他の生活支援

    要点相談への対応や生活保護の手続き、買い物の代行など、暮らしの困りごとにも契約の範囲で寄り添います。

    身寄りのない方に寄り添う以上、包括的に対応する面も出てきます。たとえば、次のようなことです。

    • 相談

      ご本人の不安を和らげるため、電話での相談に対応しているところは多いと思われます。これからのことや健康のことなど、さまざまな不安を抱えていることが多いため、迅速な対応が求められます。

    • 生活保護の手続き

      生活保護を受けることになりそうな方の手続きを、代行する場合があります。くわしくは生活保護を受けている方の身元引受へ。

    • 買い物の代行

      よく使われるのは通販です。身元引受人が買い物をして持参する方法は、時間とコストがかかりすぎるため、きわめてまれです。施設との距離が近いなどの理由で、そこまで対応しているところもあります。

    • その他

      先祖伝来のお墓が見つからないので探してほしい、という事例もありました。時間と費用がかかりすぎるため、どこかで折り合いをつける必要があるかもしれません。

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